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外は宇宙船!中はリビング!デザイナーが乗るべき電車「Laview(ラビュー)」

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こんにちは、広報担当のK(28才 天秤座)です。突然ですが皆様、上の写真の物体、何だかお分かりになりますか?実はこれ、なんと電車なんです。まるで宇宙船のような不思議な形をしたこちらは西武鉄道の新型特急車両「Laview(ラビュー)」と言いまして、世界的建築家の妹島和世氏をはじめ多数の豪華デザイナーが関わっている特急電車です。実際に乗車し、「これは是非デザイナーにこそ乗ってもらいたい…!」という想いがこみ上げてきてしまいましたので、社内周知も兼ねてブログを書きます。T3デザインのみなさん乗ってください。そしてみんな電車オタクになってください。

1. Laview(ラビュー)とは

Laview(ラビュー)とは
(引用元 時刻表 :西武鉄道Webサイト)

まずは「Laview(ラビュー)」について簡単に紹介します。西武鉄道には元々、「レッドアロー」という特急電車があり(写真右)、ゆくゆくはそれに置き換わる新しい電車として2019年3月に「Laview(ラビュー)」がデビューしました(写真左)。細かい話をすると右は2代目「ニューレッドアロー」10000系(2008年)なので厳密には違うのですが今回のブログでは割愛します。

地図

運行区間は池袋駅 - 西武秩父駅間。土屋太鳳さん出演テレビCMで記憶に残るフレーズ、ちちんぷいぷい秩父へ行こう!という文字通りの観光需要に一役買う電車ですね。

(引用元 SEIBU RAILWAY Official Channel西武鉄道公式チャンネル)
▲改めて見返したら「ぷいぷい」ではなく「ぶいぶい」でした。

また観光だけでなく通勤通学需要の拡張という狙いもあり、「ニューレッドアロー」ではラッシュを避け有料でもいいから座りたいというニーズが高まり満席状態が続いているそう。そういえば、T3デザイン社員に馴染みのある東急東横線/東京メトロ副都心線でも、直通運転先の西武池袋線からやってくる全席指定のS-TRAINという電車がありましたね。世の中の流れとしてこれからも同様の有料指定特急が増えていきそうです。

さて何度も繰り返している「Laview(ラビュー)」という愛称について、どういう意味か公式サイトで確認します。

Laviewラビュー

愛称「Laview(ラビュー)」に込めた想い

「L」贅沢(Luxury)なリビング(Living)のような空間

「a」矢(arrow)のような速達性

「view」大きな窓から移りゆく眺望(view)
都市や自然の中でやわらかく風景に溶け込む特急として、多くのお客さまに
特急列車での旅を楽しんでいただきたいという想いが込められています。

https://www.seiburailway.jp/railways/laview/

あ、アローがある!!!!!

そうなんです。ゆくゆくは「レッドアロー」に置き換わる「Laview(ラビュー)」ですが、愛称の中で、アローの想いは継がれるのです!素敵!

興奮して一つ飛ばしましたが、「贅沢(Luxury)なリビング(Living)のような空間」とあります。これこそが「Laview(ラビュー)」という電車のコンセプト、「リビングのようなくつろぎ」を表しています。キービジュアルは家族が埼玉の山中で「Laview(ラビュー)」の椅子に腰掛けながら団欒している様子になっており、これひとつでこの特急電車の良さが伝わるなあと感動しました。

Next SEIBU
(引用元 西武鉄道新型特急車両「Laview」)

そして「view」は特徴的な車窓からのビュー、眺望を楽しんでほしいという願いが込められています。

そんな特徴的な窓や車体の造形、空間を有する電車の設計は、建築家の妹島和世氏によるものです。建築界のノーベル賞とも呼ばれる「プリツカー賞」を受賞されるスゴイお方なので詳しい説明は不要と思いますが、念の為補足しますと「すみだ北斎美術館」などを手がけたことで知られています。

すみだ北斎美術館
(引用元 すみだ北斎美術館)

そんな妹島氏へ西武鉄道から「いままでに見たことがない新しい車両を作りたい」と依頼があり、デザインが始まりました。全体的なデザイン監修は妹島氏が担当しましたが、他にも車内のテキスタイルデザインに上記「すみだ北斎美術館」で妹島氏と協業している安東陽子氏。照明デザインはポーラ美術館等の照明を手がける豊久将三氏、グラフィックデザインは棚瀬純孝氏といった豪華なデザイナー陣が集結し作り上げていきました。

そんな豪腕意匠人達が集まったこともあり「Laview(ラビュー)」は2019年のグッドデザイン賞2020年のiFデザイン賞を受賞しています。

さて、今回のブログ本題であるデビューから1年経ち乗車することになった経緯ですが、なぜかT3デザインの一部でプラレールのハッピーセット集めが流行しました。(笑)そのラインナップの中に「Laview(ラビュー)」があり、不思議な形状に惹かれ乗りたくなりました。またその頃、私の義理の母(韓国人)が東京へ観光にくるというイベントがあり、せっかくだから乗って秩父の温泉に入ろう!となりました。

韓国のパッケージデザインレポートはこちら >>

乗車料金は通常運賃と特急料金がかかります。特別な料金とは言っても池袋〜西武秩父間で710円と非常にお手頃な価格に設定されています。世界的な建築家による建築物に乗車しつつ目的地へ移動できると考えたら安すぎるのでは…?と思います。(笑)

2. いままでに見たことがない電車!

前置きがとても長くなりましたが、実際に乗った感想を写真と一緒に紹介していきます!

2.1 顔がすごい

顔がすごい

まず目に入ってくるのは、この特徴的な顔。顔の半球体の曲線から滑らかに直線へと繋がっています。湾曲している窓があまりにも丸すぎて、いわゆる電車というよりも、なんだか楽しい乗り物感が漂います。もしテーマパークにあったら、飛んでいきそうです。窓の中で景色が屈折し運転手さんは酔わないかなと思うほどの湾曲具合でした。運転手席の横の窓も特徴的。正方形で、思わず覗きたくなるようなサイズ感です。一見窓が開かなさそうですが、下げるようにして開けていました。

顔がすごい

近づいて見ると、ワイパーも窓に合わせて湾曲しており、調べた情報によるとフランス製とのことでした。こんなワイパーもあるのね…。

LED行先表示器は、多くの電車にある正面上部ではなく中央右にありました。そんな正面上部にはヘッドライトが設置されており、下半分を消灯させることで「Laview(ラビュー)」をにっこり笑わせる「スマイルモード」を搭載しています。残念ながら私はその瞬間を見ることが出来ませんでした…。

西武鉄道001系「ラビュー」新型車両を公開! 試乗会も - 写真123枚 | マイナビニュース
(引用元 西武鉄道001系「ラビュー」新型車両を公開! 試乗会も - 写真123枚 | マイナビニュース)

2.2 窓がでかい

窓がでかい

床が見えるほど窓がでかい。これは正面の湾曲面と並ぶ特徴です。今までここまで大きな窓の電車は見たことがありません。乗って感じる開放感はもちろん、外から見たときの「あの電車の窓でかくない?」というインパクトの方も強く感じました。窓が大きく内装も黄色いので、誰かの家のリビングを外から覗いてるような気持ちでした。池袋駅停車中は、多くの人が中を覗いているような光景が見れました。

2.3 入ると真っ黄色

入ると真っ黄色

さあ、中に入っていきましょう。この時のドキドキ感は今も覚えています。車内清掃が終わりドアが開きます。(池袋駅が混雑しており写真が撮れず、時系列前後しますが西武秩父駅での停車中の写真を貼っておきます。)

入ると真っ黄色

入るとそこは真っ黄色。西武の黄色といえば西武線の車両の黄色を思い出しますが、それよりも鮮やかでモダンなイエローでした。彩度は高いのですが、幼稚さはなく、研ぎ澄まされたグラフィックスによって洗練された空間となっていました。

入ると真っ黄色

サインはとにかくおしゃれで、ミニマル。わかりやすくするために太く・大きくしたくなると思うのですが、ここでは細いフォントで余白も保たれており、ここは本当に電車内かと疑いたくなりました。個人的な意見かもしれませんが、サインがセンター寄せではなく少し上に配置されていたりと遊び心がところどころ見られるなど、情報伝達が目的だけのデザインではないおかげで、空間の邪魔をして来ないのではないかと感じました。またそれはコンセプトの「リビングのようなくつろぎ」にしっかり合致するサインだと思います。自分の家にでかでかと「トイレ!」「ゴミ箱!」って書かないですからね。こんな家おしゃれすぎる気もしますが…。

2.4 リビングみたいな空間

リビングみたいな空間

共用スペースとは打って変わり落ち着いたカラーリングの座席スペースは、まさに「リビングのようなくつろぎ」そのものです。全体的にグレーで統一され、特徴的な椅子の色が映えます。照明は間接的に車内を照らし、ふんわりと落ち着いた空間を演出しています。

「もうちょっと座席増やせそう」、「この空間、無駄に広いんじゃないか」、そんな思いが一瞬過ぎりましたが、この広さ・余裕・余白が「特別感&非日常感」を感じさせるのかなあと思いました。今回私は観光目的でしたが、この電車を平日通勤に利用している人はなんと幸せだろうかと想像してしまいました。

リビングみたいな空間

車内の電光掲示板は多言語対応で、観光需要の取り込みをしっかりとケアしていることが伺えます。フリーWi-Fiや電源も完備で、この点もリビングみたいな居心地に一役買っています。

2.5 車椅子スペース

車椅子スペース

そんな余白たっぷりスペースを一際目立たせる空間が1号車にはあります。車椅子専用のスペースです。横に固定用ベルトがついている車いす対応席が設けられており、介助者の方が座ることができます。客車入り口のスペースは十分に取られており、ゆとりを持って移動が出来るのではないのでしょうか。よくよく考えますと確かに入り口のドアから段差がありませんでした。このようなバリアフリーの対応も素晴らしいなと思いました。

2.6 椅子

椅子

この電車、説明したいところが多すぎる……。ようやく座席にたどり着けました……。

座る人を包み込むようなデザインの椅子は、一人に一席、特別に与えられた場所という感じでした。新幹線の普通席のように肘掛で簡易に区切られているものではありません。かと言って新幹線グリーン席のように電動で座席が動いたりはしないので、「詰め込まれるようなザ・移動手段ではなく、グリーンのように豪華絢爛でもない、ちょうどいいリビング感」という感想です。(伝わります?)

枕部分は高さを飛行機の椅子のように調整できるので、しっくりくる首の心地を探れます。またカバー素材は汚れを弾きそうな素材で作られており、清潔感があります。上から袋を被せファスナーで閉じるようなタイプではなく、シート状のカバーをふわっとかけてあるものでした。カバー横フチの曲線美が美しく、モダンぽい印象です。推測ですが脱着が楽だったり制作コストも削減できたりで良いことずくめなのではないのでしょうか。

椅子

あとはテディベアの耳みたいな持ち手も生えていました。丸くて可愛い!立っている時に揺れたらすぐに掴めそうです。あ、でもこの電車はほとんど揺れる瞬間がなく快適な乗り心地でした。余談ですが、私は先述した「ニューレッドアロー」に乗車し、(アニメの聖地巡礼のために)秩父に行ったことがあります。当時、乗り心地について意識していなかったので全く気にならなかったのですが、改めて思うと格段に「Laview(ラビュー)」では乗り心地が良くなっていると思います。

2.7 カーテン

カーテン

カーテンまで黄色だったら、ちょっと元気すぎて疲れてしまうかもしれなかったなあと、淡いグレーのカーテンを見て思いました。カーテンを閉めても、閉めなくても、存在が気にならないカラーリングのチョイスが素敵です。そして私が「こりゃたまらん・・・」と思った点は細かいのですがカーテンの束ね方。一本の細い鉄棒がコの字に曲がっています。そこに収まるプリーツカーテン。家のカーテンのように紐で縛らないこのデザインに痺れました。

3. この電車に住みたい

iPhoneで撮影
iPhoneで撮影

私の家はリビングがありません。ソファもありません。ミニマルでコンパクトな暮らしがもてはやされる今の時代に「リビングのような電車」は非常に合致するのではないでしょうか。

と、非常にボリューミーなこのブログを書いている今、ひとつ失敗に気がつきました。あれほど、特徴的な車窓からの眺望を楽しむとか言っていたのに、車内のデザインに夢中で外を撮影した写真が全くありませんでした。

また乗る機会があれば、景色を楽しもうと思います。それでは!

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