こんにちは!デザイナーのまきです。みなさんは自然界のものをみてワクワクすることってありますか?私は自然が作り出す造形美が好きです。休みの日は博物館にいったり、植物園、水族館を見に行ったりすることもしばしば。花や魚や木など、さまざまな種類があり、どれも見ているだけで美しいなと思います。その中でも一番好きなのが鉱物です。
魅力はずばり「同じ結晶構造でも1つとして同じ造形がないところ」。いきた自然の美術品として楽しめるところが鉱物の魅力だと思います。そして、意外と私たちの身近なものに使われているのがとても面白いんです!
今回は趣味の一つである鉱物収集から鉱物の魅力をご紹介したいと思います!
1. 鉱物にはまったきっかけ
私が鉱物にはまったのは5年前。友人が「まきちゃん絶対この本が好きだよ!」とオススメされた「宝石の国」 という漫画からでした。
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体、のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。『宝石の国 1巻』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み
この漫画に出てくるキャラクターたちは実在する鉱物を擬人化しているのですがとてもかわいい!かわいい絵もさることながら、鉱物の特徴などもかなりしっかり押さえられていて、調べれば調べるほど、ストーリーの奥深さやこの先の展開を考えることが面白く、その流れで石の方にも興味を持ちました。その後、オススメしてくれた友人にミネラルショーという石の即売会に連れて行ってもらうと、見たことのないありとあらゆる石が並んでいて、なんだか鉱物ってすごい世界かも!と思い少しずつ集め始めました。
2. 鉱物とは
「そもそも鉱物ってなに?」
と思う人もいるかと思います。分かりやすいイメージでいうと、例えば、パワーストーン、指輪やネックレスなど装飾として利用されている宝石のもの。他にも鉄や、銅、生活の身の回りにあるもの工業用途に使われる原料の石、それら全部ひっくるめて鉱物です。実は鉱物は単純に固まって石になってるわけではありません。それらは化学式をもってそれぞれがもつ構造のルールで自然に結晶化しているものです。(理科の実験のミョウバンの結晶などもそのひとつ!)
宝石などはカットされると美しいきらめきを帯びますが、原石は原石で自然の結晶のままの形がとても美しいんです。
3. 美しくておもしろい石たち!
3-1. パイライト(黄鉄鉱)
私が初めて鉱物の中で1番最初にびっくりした鉱物がこのパイライトという石です!この立方体の形はなんと、人工でカットしたのではなく自然界でそのままできた結晶なんです。結晶がこんな風に綺麗な立方体になるんです。自然界に直線があるってなんだか不思議な感じがしませんか?その昔、この結晶をみて金だと思い集められたりしたことから「愚者の金」ともよばれています。ぽこぽこ地中からこんな風に結晶がたくさん出てくるのが面白いですよね!太陽パネルの原料などにも使われています。
3-2. ビスマス鉱石
このビスマス鉱石は美しい虹色の幾何学模様をしています。RPGのダンジョンのような結晶になるのが面白いです!なんとこちら、自宅でも作ることができちゃいます。ビスマスチップというものを溶かしゆっくり冷やし固めていくとすぐにこの複雑な結晶が生まれます。虹色の色は表面が酸化膜をはることでできる虹色で、冷ます時間で色が変わっていきます。お試しあれ!ビスマス鉱石は伝導体に使われたり、化粧品や胃薬なんかにもつかわれています。
3-3. ふわふわした石!オケナイト(オーケン石)
見た目はケセランパサラン?別名ラビット・テールという石です。名前のとおりうさぎのしっぽみたいです!石なのにふわふわしてる・・!このふわふわの正体は、細いガラス状の繊維が放射状にのびた結晶になります。なでるとちょっとサラサラと気持ちの良いビロードのような触り心地!
3-4. オパール
私がおもしろいと思っている石の一つがこのオパール!オパールは和名が蛋白石といいます。オパールのおもしろさは、様々な色味の面白さがあるところもありますが、まれに恐竜の骨、哺乳類の歯、イカなどがそのまままるっとそのまま全部オパールになってしまったりすることも。ちなみにこれは恐竜の骨がオパールになったものです。オパールは宝石の中では唯一水分がふくまれた鉱物です。海にシリカの多いオーストラリアで見つかることが多いのですが、乾燥剤でお馴染みのシリカゲルはオパールと成分が一緒なんです!
3-5. ガーデンクオーツ(庭園水晶)
これも私が好きな石のひとつで、ガーデンクオーツとよばれるものです。これは名前の通り、水晶の中が庭園のように見えることからそう呼ばれています。水晶ができる過程で、周りの苔や土や植物や泥、他にも様々な鉱物を含んで結晶化します。景色を映し出す造形はまるで箱庭のよう!
3-6. パラサイト隕石
パラサイト隕石は宇宙から降ってきた隕石のひとつ!なんと隕石も鉱物なんですよ。鉄・ニッケル合金・ケイ酸塩鉱物からなる隕石で、この隕石は中でも特に珍しく、地球に落下する隕石の中で約2%しか見つからないと言われる大変貴重な石です。オレンジのキラキラ光る部分はペリドットという宝石でできています。透かすと光が通ってキラキラ輝きます。
3-7. 絵の具になる石(アズライト、マラカイト)
絵の具になる石には毒がないものもありますよ!こちらは日本画の岩絵の具では青と緑になる、藍銅鉱(アズライト)と孔雀石(マラカイト)という石です。だいたいこの2つは共生しています。とても綺麗な色をしているんですよ!この石の存在を知ってから日本画は宝石で絵を描いているようなものだとしみじみ感じてしまいます。尾形光琳の燕子花図という絵は、金箔、アズライト、マラカイトで描かれています。石と同じ色ですね♩
4. 鉱物のデザインのお店
さまざまな鉱物を紹介しましたが、鉱物や自然美をデザインとして扱っている私の好きなお店をご紹介します。こちらは、「自然の造形美を伝える」をコンセプトにしたショップ、京都と東京にある「ウサギノネドコ」というお店です。鉱物以外にも、様々な植物のアクリル標本や蝶やウニの標本などを取り扱っています。本店の京都にはカフェもあります。
ウサギノネドコ(京都・東京)
鉱物デザート
左からジルコン、トパーズ、アメジスト、ガーデンクオーツの石をイメージしたデザートになります。石が好きな人ならそっくり!とテンションが上がってしまいそうです!フォトジェニックでかわいいですね♩
おいしい石展
「おいしい石展」というデザートにみたてた石の展示が6/30日までやっています。そこで好評だった「ラピスラズリのオペラ」という石の作品を、実際のケーキにして今月販売されました。通販で買うことができます♪
sola cube
ウサギノネドコから販売されている「sola cube」というアクリルに閉じ込めた標本元もかわいいです。鉱物の他にも、植物の種や花などがあります。キャッチコピーは「手のひらの小宇宙」。まるでトーマス・ヘザウィッグの種の聖殿のようです。
5. まとめ
いかがでしたか? まだまだ紹介したい鉱物がたくさんありますがこの辺で…(これでもだいぶカットしました)。鉱物ってなんだ?って思った人も石っておもしろいかもと思ってもらえたら嬉しいです。普段、石なんてなんでもない存在と思うかもしれませんが、実は身近で、美しくて、こんなにおもしろいんですよ!生活の周りのデザインにも、鉱物は大活躍しているんです。鉱物を知ると、世界がちょっと違った角度でみえるかも?
おまけ
GW中にこの作品のアニメを見てすっかりハマってしまい5周みて原作も全て買ってしまいました。化学や鉱物の話がたくさん出てきて、知的好奇心をくすぐられてとてもワクワクする漫画です。全人類が石化してしまい、3700年後が原始に戻った世界で、化学を使って一気に現代まで駆け上がり、1から文明を作ることを再体験ができる作品です。こちらも興味があればぜひ!