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パッケージデザインの歴史(食品編)成り立ちや現代の名品を説明

2023.12.04
知識 / ノウハウ
パッケージデザインの歴史(食品編)成り立ちや現代の名品を説明

今や当たり前にある商品パッケージ。特に鮮度を保ったり、雑菌から守ったり、安全性への配慮という観点から見ても欠かせない「食品のパッケージ」って、一体いつ頃からあるんでしょうか?

さらに、そこに「デザイン」が意識されるようになったのっていつ頃からでしょう?

今回は食品パッケージの歴史を探ると同時に、日本の食品パッケージデザインの名品をご紹介しようと思います。

1.食品パッケージの歴史

1-1.最初の最初は葉っぱと獣の皮!

おにぎり
昔話で見るやつですね。

人類が最初に使った食品パッケージは、木の葉や竹の皮、獣の皮と言われています。

現在でも柿の葉ずしやおにぎりを竹の皮に包むという文化がありますよね。特に抗菌性と保湿性が期待されて使用されていました。時代設定が古い洋画などでは、獣の皮を使った水筒なんかも登場します。こちらも実際にあった風習。獣の皮は液体を漏らさずに運ぶ丈夫な素材だったんですね。

1-2.作った食べ物を保存したい

お弁当

採取した木の実や肉、魚、液体を運ぶために使用され始めた食品パッケージですが、「生産」を覚えた人類は、「食べ物を美味しく長く保存したいなあ」と考えました。

そこで登場するのが壺と箱です。
土で作って焼いた壺に、長持ちするように塩と一緒に野菜やお肉を漬けておいたり、汲んできた水をたくさん貯めて置いておいたりするようになりました。

日本では、木で箱をつくったり、薄く割った竹やつる植物を編んでかごを作ることが盛んになりました。抗菌性のあるスギやヒノキを使えば食べ物が長持ちしますし、通気性がよく、軽いので運びやすい、遠くへ持って行って中身を売ることができるというのも利点でした。

1-3.ガラス、そして缶詰の登場

そうこうしている間に、ヨーロッパ諸国ではガラスが普及します。美しいのでとても人気。ガラス瓶に食品を詰めて船に乗せたりもしていましたが、割れやすいのが難点でした。

そこで、ナポレオンが海外遠征用の食物の保存方法を募集すると、持ち込まれたのがブリキ缶のアイデアでした。食品を煮沸消毒して、ブリキ缶でぴったり密閉するとすごく長持ちするということが広まります。今の缶詰技術の始まりですね。

1-4.使い捨てパッケージの登場、回り回ってエコ社会へ

ペットボトル

第2次大戦後、日本に「使い捨てのパッケージ」という概念が本格的に登場します。紙コップやアイスクリームカップといった、紙の使い捨てパッケージです。そして1950年代には食品のビニール包装が登場。さらに1960年代に突入すると、プラスチックが急速に発展することになります。

ペットボトルやプラスチック容器の大量生産、大量消費。でもそれは、1990年代のバブル経済崩壊とともに生まれた「エコ」の概念によってまたひっくり返ることに。今度は環境に優しい素材についての研究がトレンドになります。

そして現在では、食品のパッケージは原点回帰し、瓶や缶、紙の再生性が見直されています。また、バイオマスプラスチックのように自然へ還る素材の開発に積極的に取り組む企業も増えています。

2.パッケージとデザイン、そしてブランディング

パッケージをデザインするという概念は、土器に模様を刻むことや、かごを美しく編むことからすでに始まっていたと言えます。

古代ローマのガラス容器も、さまざまな形や色で美しく装飾されています。
日本でも、江戸時代にはもう、葛飾北斎がお菓子の包み紙に木版印刷で絵を描いていたそうです。

紙やプラスチックを使い、印刷技術が発展するにつれて、パッケージは商品を包むだけでなく「訴求する」という役割が強くなりました。

戦争が終わると、日本は高度経済成長期に入り、国と人々の生活が豊かになってきました。ますますグラフィックデザインやパッケージデザイン業界は盛り上がり、庶民が手にする食品や生活用品の中にも、名品と呼ばれるデザインが次々と生まれます。

商品そのものを引き立て、宣伝し、ブランドを体現することができるパッケージデザイン。デザインによって、商品はもっと「売れる」ようにできる。ブランドと、パッケージと、デザインは、切っても切れない関係になっているんです。

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3.これ知ってる?食品パッケージの名作3選

生活の中にも「デザインの名品」はあるんですよ。ちょっとご紹介します。

3-1.ニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクション(永久収蔵品)に選ばれているほどの名品【キッコーマン特選丸大豆しょうゆ】

スーパーで見かけるあの醤油さし。誰もが一度は買ったことがあるのではないでしょうか。1961年にデザインされたこのシンプルで使い勝手の良いこの醤油さしは、実はニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクション(永久収蔵品)に選ばれているほどの名品です。

3-2.1983年発売から変わらないデザイン【カロリーメイト】

こちらも、みなさん一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。大塚製薬の「カロリーメイト」です。この元祖ブロックタイプの大胆なイエローとオリジナリティのあるロゴデザインは、1983年の発売からずっと変わらないもの。多くの人々に支持され、2015年グッドデザイン賞において、ロングライフデザイン賞を受賞しています。

3-3.2003年にグッドデザイン賞を受賞【おいしい牛乳】

グラフィックデザイナー・佐藤卓さんの代表作とも言える「おいしい牛乳」。「牧場でのむ搾りたての牛乳のようなおいしさをお届けする」というコンセプトを最大限に表現するため、訴求ポイントをシンプルにわかりやすく表現したネーミングとパッケージに仕上げています。従来のメッセージが多く詰まった牛乳パッケージとは一線を画したデザイン。2003年にグッドデザイン賞を受賞しています。 

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4.食品パッケージはインパクトとスタイルが大切!

パッケージは今や商品そのものと言っても過言ではないほど、商品を効果的にアピールするための重要なツールです。

たくさん陳列された商品の中からユーザーに選び取ってもらうために必要なのは、インパクトとスタイル。デザインという仕事自体にも注目が集まりますが、これからの時代は、素材の使い方や、使った後のパッケージをどうするのかといった、売り出す企業の姿勢をも体現することが求められています。

T3デザインでは、商品のパッケージデザインはもちろん、ブランディングについても承っています。「今!」を感じさせるキャッチーなデザインから、ずっと愛されるロングライフデザインまで、お客様と一緒にブランドを育てるお手伝いをしたいと思っております。

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